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夢の国
ここはフリー百科事典ウィキペディア (Wikipedia) 日本語版の利用者であるCarbuncleによる、ウィキペディアに関すること・関しないことについての覚書のためのサイトでした。2007年4月以降は一応凍結中ということになってますが、稀に更新するかもしれません。

この画像の著作権表示を見る[ニュース] 良いニュースと悪いニュース [link]

まずは良いニュースから。
一審で差止請求等が認められたロクラクII事件(東京地判平成20年5月28日裁判所HP)ですが、控訴審において原判決取消し・請求棄却となりました(知財高判平成21年1月27日裁判所HP)。つまり差止め等が認められなかったわけです。
  • 番組の海外転送サービスは「適法」 テレビ局側逆転敗訴(MSN産経ニュース、2009年1月27日)


  • 一審判決は、いわゆるカラオケ法理を適用して、被告は原告(テレビ局)らの著作権・著作隣接権(複製権)の侵害主体であるとしていました。
    ところが控訴審判決は、結論として、
    「控訴人〔被告〕が本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているものと認めることはできない、すなわち、控訴人〔被告〕の本件サービスは、利用者の自由な意思に基づいて行われる私的使用のための複製を容易にするための環境、条件等の提供行為にすぎないものと判断」

    してテレビ局側の請求を棄却しています。

    これまで、録画ネット、選撮見録、本件一審判決と侵害主体性を肯定する事例が目立っていた(その唯一の例外がまねきTV)ところ、肯定した一審判決を覆して侵害主体性を否定した本件控訴審判決は非常に画期的であると言えます。
    これらカラオケ法理の不明確な拡張適用によって斬新なインターネットサービスの提供が阻害されている、という批判もあったところですから、今回の控訴審判決はサービス提供者にとっては朗報となるでしょう。

    まねきTV事件控訴審判決に対しては上告受理申立てがされているようですし、おそらく本件も上告・上告受理申立てがなされるでしょう。
    そうすると、来年か再来年あたりには、いよいよ最高裁判決が出て決着するのではないかと期待されます。



    さて、次は悪いニュース。
    一審で無罪判決が出ていたラーメン花月に関する名誉毀損事件(東京地判平成20年2月29日判時2009号151頁)が高裁で逆転有罪となりました(東京高判平成21年1月30日未公表)。
  • ネット書き込みで名誉棄損、二審は逆転有罪 東京高裁(asahi.com、2009年1月30日)

  • 中傷書き込み、逆転有罪=ネットで名誉棄損−東京高裁(Yahoo!ニュース(時事通信)、同日)


  • この事件は、インターネット上でラーメンチェーン「花月」に関して情報発信をした被告人が、名誉毀損罪に問われた事案です。

    一審判決は、
    「インターネットの利用者は相互に情報の発受信に関して対等の地位に立ち言論を応酬し合える点において、これまでの情報媒体とは著しく異なった特徴をもっている」

    というインターネットの特性である高度の反論可能性を根拠に、
    「被害者が、自ら進んで加害者からの名誉毀損的表現を誘発する情報をインターネット上で先に発信したとか、加害者の名誉毀損的表現がなされた前後の経緯に照らして、加害者の当該表現に対する被害者による情報発信を期待してもおかしくないとかいうような特段の事情...が認められるときには、被害者が実際に反論したかどうかは問わずに、そのような反論の可能性があることをもって加害者の名誉毀損罪の成立を妨げる前提状況とすることが許されるものと考えられる。」

    とし、またこれに続けて、インターネット上の情報発信については、
    「個人利用者がインターネット上で発信した情報の信頼性は一般的に低いものと受けとめられている」

    から、
    「加害者が主として公益を図る目的のもと、「公共の利害に関する事実」についてインターネットを使って名誉毀損的表現に及んだ場合には、...加害者が、摘示した事実が真実でないことを知りながら発信したか、あるいは、インターネットの個人利用者に対して要求される水準を満たす調査を行わず真実かどうか確かめないで発信したといえるときにはじめて同罪に問擬するのが相当と考える。」

    という従来にない新たな基準を定立し、これを適用することで無罪との結論を導いていました。


    これに対し控訴審判決は、上掲の時事通信の記事によれば、次のように判断したようです。
    「一審はネット上の個人表現について、一般に信頼性が低く、反論が容易として、可能な調査をしていれば同罪は成立しないとの新基準を示していた。控訴審判決は『さらなる社会的評価の低下を恐れて反論を控えるケースがある。内容も、必ずしも信頼性が低いとはいえない』と述べた。」

    その上で、刑法230条の2に関する従来どおりの判例法理に依拠し、本件では真実性の証明がなく、かつ真実と誤信したことに相当の理由もないとして、有罪としました。


    うーん、まあ難しいところですね。
    控訴審判決が指摘するように、インターネット上の情報だからといって必ずしも信頼性が低いと受け取られているとも言えないでしょう(ヘビーユーザはともかく、リテラシーの低いユーザの中には鵜呑みにする人も大勢いそうです。)。
    また、下手に反論するとさらに炎上して祭りになるという実例を目にしている立場からすると、反論できるのだからそれでいいじゃないか、と割り切るのにも抵抗があります。
    とはいえ、一審判決が懸念するように、従来の基準のままだとインターネットを用いた情報発信が過度に萎縮されるおそれがある、というのもその通りです。
    そのバランスをどうとるか、ということが、今後上告審(最高裁)で審理されることになるのでしょう。

    追記:
  • 東京新聞:男性に逆転有罪 HP書き込み 東京高裁判決『閲覧で被害深刻』(東京新聞、1月31日)


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    2009年01月30日21時17分42秒

    この画像の著作権表示を見る[著作権] 著作権侵害を否定しつつ一般不法行為法による保護を認めた新事例 [link]

    北朝鮮映画事件の控訴審判決(知財高判平成20年12月24日)です。
    一審判決(東京地判平成19年12月14日)同様、著作権法6条3号にいう「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」には該当しないとして、著作権侵害を否定しました。
    ところが、
  • 北朝鮮映画、著作権認めず 2審はTV2局に賠償命令(47NEWS、2008年12月24日)
  • によれば、
    「一方で、著作権法で保護されない著作物でも、経済的価値や利用状況などによって民法上保護されると指摘。「報道目的を考慮しても、無断放送は社会的正当性を欠く」とし、カナリオ企画への利益侵害を認めた。」
    として、一般不法行為として損害賠償請求を認めたようです。
    今までにない新たな類型です(といっても、今後ほとんど同じ問題は起こらないであろうレアケースですけども。ただ、この調子でいくと、13条列挙の著作物に関しても、そのうち不法行為の成立を認める判決が出てもおかしくないですね。)。

    (日本の)著作権法上保護されないからといって、北朝鮮の著作物は自由に使い放題だ、ということにはならないということです。

    んー、まぁ結論としては分からないではないんですが、やっぱり違和感は感じます。
    通勤大学法律コース事件(知財高判平成18年3月15日)よりはまだ納得できるものの、YOL事件(知財高判平成17年10月6日)ほどすんなりとは共感できないというあたりの位置づけ。


    いずれにせよ、どんどん事前の予測可能性が低くなっていっている気がします。


    あんまり関係ありませんが、こんな動きもあって、
  • ネット著作物「公正利用なら制限緩和を」 知財戦略本部(asahi.com、2008年12月24日)

  • (どんな形になるのかはともかく)フェアユース規定が入るのは規定路線のようですし、それも相俟って、事前規制から事後規制へと大きなパラダイム転換が起こりつつあるという印象です。


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    2008年12月25日00時29分57秒

    この画像の著作権表示を見る[著作権] オープンソースライセンス不適合と著作権侵害 [link]

    アメリカより。
  • オープンソース・ソフトウェアの著作権は実施可能、CAFC判決(IP NEXT ニュース、2008年8月15日)

  • 米裁判所、オープンソースライセンスに著作権保護認める(Open Tech Press、同日)


  • ライセンスというのは、ライセンス条項に従った利用をする限度で著作権侵害にならないという利用許諾なので、その条項に従わない利用行為は、原則どおり、著作権侵害となる。

    という、要するにそれだけの話なのだが、ライセンスといってもその内容はさまざまで、書き方もいろいろある。その書き方次第では、地裁のように、かなり広い許諾があると理解されることもあろう。オープンソースライセンスが一般にどうこう、という話ではない。


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    2008年08月15日22時33分44秒

    この画像の著作権表示を見る[ニュース] 振り付け写真の利用にパブリシティ権侵害認めず [link]

    東京地判平成20年7月4日(報道より)

  • 元ピンク・レディー、肖像権裁判で敗訴…東京地裁 (YOMIURI ONLINE、2008年7月4日)

  • 事案の詳細はよくわからないが、パブリシティ権侵害が否定された事例として注目される。

    提訴時のニュースはこちら。
  • 「振りつけにパブリシティー権ある」 ピンクレディーが提訴(MSN産経ニュース、2007年10月8日)



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    2008年07月05日01時52分14秒

    この画像の著作権表示を見る[Wikipedia] 出版するなら印税をよこせ!? [link]

    ドイツの出版社が「ウィキペディア」を書籍化、出版へ(CNET Japan、2008年5月9日)

    ドイツでWikipediaの書籍版が出版されるというニュースに関連して、執筆者の中には、印税が支払われるべきなのに支払われないのは搾取だと感じる人がいる、という報道。

    感覚論としては分からないでもないが、冷徹に議論を詰めていくならば、記事中にあるとおり、
    「BertelsmannはGNU-FDLライセンスの下で合法的にコンテンツを販売するのでありこれは全く問題ない、と。」

    との結論にならざるを得ないだろう。
    それに続く部分で、
    「しかし、正直に考えてみよう。執筆者たちが、自分たちの書いたコンテンツが、「情報を無償で提供する」という運動に貢献するのではなくて、商業出版社の金もうけを助けることになると知っていたなら、それでも、自分の多くの時間を無償で提供しただろうか。」

    との反論があるが、そもそも「「情報を無償で提供する」という運動」にしか使われないというのは、執筆者の勝手な思い込みである(ライセンスのどこを見てもそんなことは書いてない!)。

    端的にいえば、契約書にハンコ捺しちゃったら後から文句言っても通りません。法律って冷たいよねえ、という話。
    あるいは、賢くないから搾取されるのだ、という教訓。
    (まあその場合、「賢い選択」というのはウィキペディアになんて絶対に投稿しないというものなので、それはそれでウィキペディア側としては望ましくない行動である。)



    とはいえ、いくら文言上とても広い範囲のライセンスがあるかのようになっているとしても、その文言でライセンスすることが強制され、かつ現実のライセンサにはそこまでの意図はない、という場合に、本当に文言どおりの広いライセンスの成立を認めていいのか、というのはやはり引っ掛かりを覚えずにはいられない(冒頭の「感覚論」。)。
    一つあり得る方向性としては、今回の件を火種としてウィキペディア不執筆運動が大々的に展開されて、それを受けてライセンスの見直しが本腰を入れて行われるようになる、といういつぞやのmixi騒動と同じ展開だろうか。
    あるいは、そんな広いライセンスなんて不存在だ、無効だなどと言って印税の分配を求めてドイツで訴訟をしちゃうという手はある(ただし見通しは明るくはない。)。


    ライセンス周りは不用意につつくと大蛇が出てくる深い藪で、個人的にも蓋をして見なかったことにしているのだが、そう安穏ともしていられないという時代の潮流を感じつつある。


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    2008年05月10日16時13分01秒


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