リハビリも兼ねて、専ら自分のためのニュースクリップ。2006年11月上旬篇。
情報流出
まずは恒例の情報流出のニュース。
NTT西日本鳥取支店、米子地域の顧客情報1,614件がWinny上に流出(INTERNET Watch、2006年11月6日)
流出経路は不明だが、NTTの顧客情報が流出。Winny。
高知医療センター患者情報流出:「ウィニー」でネットへ−−委託の社員 /高知(毎日新聞、2006年11月2日)
当初、流出の原因が不明だった高知の情報流出事件。その後の調査でWinnyによるものと断定。
26万人っていうともっと大騒ぎしてもいいと思うのだが、意外と大問題にはなっていないようである。カエルが入った水槽の水温を徐々に上げていくとカエルは異常に気付かないまま茹で上がるという本当か嘘かわからない話を思い出す。
東芝エレベータ、社員の私用PCから顧客情報345件が流出(Security NEXT、2006年11月7日)
東芝エレベータ社員の私用PCから。「ファイル共有ソフト」とは書いてあるが、ソフト名までは不明。
報道の自由・中立性
自由で中立的な報道のあり方について。イギリスの話。
「公平な報道に傷」と反発 BBC職員ら、ウェブ広告計画に(京都新聞(共同通信)、2006年11月7日)
イギリス国内からの受信料収入で運営されているBBCが、インターネット上では他国に向けて情報発信をしていることから、ネット広告を利用して海外からの資金調達を考えているとのこと。
1つには国営放送が広告収入頼りに切り替えることの是非、もう1つは広告主の意向により報道内容が偏向される危険性、という異なった問題があるようだ。後者はともかく、前者については国を挙げての議論が始まることだろう。
一方日本では、NHK短波ラジオ国際放送に対して総務大臣が個別的な放送命令を出そうとしていることが問題に。関連記事はこの辺。
NHKへの放送命令に反対アピール メディア研究者ら(asahi.com、2006年10月30日)
「命令放送は違憲」 弁護士10人、電波監理審に要望(asahi.com、2006年11月7日)
「法改正の議論も」 NHK命令放送で官房長官(asahi.com、2006年11月8日)
NHKへの放送命令、電波監理審が「適当」の答申(asahi.com、2006年11月8日)
「メディアも怒りが足りない」 NHK命令放送で菅氏(asahi.com、2006年11月9日)
総務相、NHKに「拉致」放送を命令(NIKKEI NET、2006年11月10日)
いろいろ議論はあったけど、電波監理審議会がOKの答申を出したこともあって、10日に命令が出されました。
放送命令の根拠は放送法33条1項。従わなかったら行政処分→取消訴訟、という感じなのかな。
ただ、この命令の内容が「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意すること」という曖昧なものらしく、どこまで実効性があるのかは疑問。
たぶんこの命令自体はそれほど大騒ぎするほどのことではなくて、むしろこれを布石にして今後介入が公然と行われるようになるのを危惧しているというところではないかと思います。
上の記事で「メディアも怒りが足りない」という菅直人氏のコメントが紹介されているように、わりとマスコミも大人しい印象なのは、NHKに対する国民不信を慮って腰が引け気味なのかなあ、と。
インターネット社会と子ども
ちょっと子どもに関するニュースがいくつか目をひいたので。
わいせつ:「イケメン」の他人写真で女子中生誘い出し逮捕(毎日新聞、2006年11月1日)
他人の顔写真で女子中学生を誘い出し、自宅に連れ込んでわいせつ行為をしたとして逮捕。引っ掛かるのは、
「出会い系サイトで交際相手を募集していた少女に、男がイケメンサイトから取り込んだ顔写真を添付して送信。返信してきた少女に、裸の写真を送らせ、『写真をばらまかれたくなかったら言うとおりにしろ』と脅し連れ込んだという。」
「裸の写真を送らせ」って淡々と書いてあるけど、この展開、全く論理的じゃないですよね……。
同じような感想を持ったのがこちらのニュース。
教諭、中2に裸の写真撮らせ「ばらまく」 容疑で逮捕(asahi.com、2006年11月5日)
「竹田容疑者は10月下旬ごろ、携帯電話の情報交換サイトで知り合った同県内の別の市に住む中学2年の女子生徒(14)に、自身のカメラ付き携帯で裸の画像を撮らせ、自分の携帯に送信させた。」
ここでも、なんでそんなに簡単・無警戒に自分の裸の画像を送れるんだろうという気がしてなりません。
判断力が十分身についていない子どもの無知に付け込んだ悪質な犯罪、と言えばそれっぽいけど、14歳でもその程度の判断力ってあるんじゃないですか。道を歩いていて知らないおじさんについて行ったりはしないでしょう。
携帯電話を利用したコミュニケーションだから、なんとなく現実社会とのリンクが希薄そうだという感覚があるんだろうけれども、そこを「そうじゃないんだよ」と教えていくのが大人の役割なんでしょうね。
ネット掲示板:中学生が“抗争” 「絵文字」を駆使、中傷合戦−−乱闘寸前のケースも(毎日新聞、2006年11月4日)
「市内の中学校長の一人は『今、どの学校でも掲示板上のトラブルが問題になっている。インターネットの正しい使い方、マナーを教育できていない』と悩む。」
当然そんなことは教師もわかってて、それでも十分な教育ができていないと苦悩している。
いじめ:生徒の被害画像がネットに 札幌の高校に抗議殺到(毎日新聞、2006年11月9日)
北海道の高校で、いじめのシーンを加害者側が携帯電話で撮影し、その動画をネット上にアップロードし、話題になっている。
「いじめに加わっていた生徒が携帯電話で撮影。その動画像を今年3月にネット上に流した。」
やっぱりここでも、撮影→アップロードという展開が非論理的。なぜそうなるのか分からない。
上のどのニュースを見ても、子どもたちは携帯電話などを使ったプライベートなやり取りをしているつもりで、実はパブリックな問題になってしまっているという構図が見える。
インターネット上のやり取りは誰に見られるか分からないんだよ、ということをもっと切実に伝えないと駄目なんだろうね。
いじめ動画について
別のソース(J-CASTニュース、2006年11月9日)では、
「ネット上の掲示板2ちゃんねるでは、この映像に関連するスレッドが数十本も立てられており、いじめた側の人物の本名や画像(プリクラ)などを見つけられる。さらに、白陵高校やいじめた側の人物のものと思われる自宅の地図なども晒されている。」
という状況が報じられている。プリクラ画像まで見つけられるんだよ、というのは良い警告の材料になりそうだ。
あと、そんな問題の延長にあるのがこれか。
就職活動で気をつけよう ブログのヤバイ書き込み(J-CASTニュース、2006年10月30日)
だいぶ被害妄想も入ってそうだが、
「特に、面接で知った会社の秘密情報をブログに書き込んだりすると相当ヤバイ。
『会社の公開できない情報を公表することは、ビジネスの世界ではありえない。そんな求職者は社会人として疑問をもたれ、それを理由に内定取消しになっても反論は難しいでしょう』と村山さんは話す。」
という指摘は至極当然。
そういうわけで、とりあえず近いうちに過去ログの整理します……。(ぇ
YouTube
「ユーチューブ」が「ユーチューブ」を訴える(ITmedia、2006年11月2日)
「youtube.com」が有名になりすぎたために、たまたまそれと似ているドメイン「utube.com」にも誤ったアクセスが集中し、ホスティング費用の増大という損害や、アクセス増大によって取引機会が失われたという逸失利益が生じているとのこと。
これはなかなか興味深い話で、雑誌「ぴあ」に掲載された深夜営業店の広告の電話番号が誤っていたために頻繁に自宅に間違い電話がかかってくるという被害を受けた原告が広告制作会社、雑誌発行会社に対してした損害賠償請求が一部認容された大阪高裁平成6年9月30日判決(判時1516号87頁)を連想するところだが、果たして今回youtube.comに責任(注意義務)があると言えるのだろうかと考えると、ちょっと疑問。
別にyoutube.comが何かのミスをして誤ったアドレスを提示したわけでもないし。あえて言えば「utube」とも表記できる「ユーチューブ」なんて名前を安易に付けたところに問題があるのだ、ということになるのだろうけれど、無理があるのではないか。
「ガーキンス氏は、同社はutube.comのWebアドレスを売却して、新しいWebサイトアドレスを探すことを考えていると語った。」
下手に売却してフィッシング詐欺犯に悪用されたりその責任を追及されたりでガーキンス氏が更なる不幸に見舞われないことを祈るばかりである。
ユーチューブを選定 タイム誌「今年の発明」(京都新聞、2006年11月6日)
そのユーチューブ、タイム誌の「今年の発明」に選ばれる。厳密には今年発明されたわけじゃないような気もするけれど……。
著作権侵害事犯・容疑
韓国ドラマ複製・販売事件:著作権法違反容疑、3被告を追送検 /長野(毎日新聞、2006年11月7日)
これ(長野放送、2006年9月20日)の続報。韓国ドラマを複製、販売して3人送検。
携帯電話オークションで海賊版ソフト販売の会社員を逮捕(INTERNET Watch、2006年11月8日)
携帯電話のオークションサイトで Windows XP の海賊版を販売して逮捕。
矢沢さんのビデオを改編し販売 著作権法違反容疑で男を書類送検(京都新聞、2006年11月8日)
矢沢永吉氏のビデオを編集して販売した「熱烈なファン」が逮捕。
著作権法違反:無許可で曲演奏、73歳容疑者を逮捕−−石神井署 /東京(毎日新聞、2006年11月10日)
スナックでビートルズの楽曲を演奏して逮捕。
と、こうまとめると、なるほど「なんでやねん」「カスラックうぜー」という反応になってしまうところだが、1981年に開店して以来ずっと生演奏を売りにしていたとか、仮処分の決定が出てもまだ続けていたとかいう事情を聞くと、JASRACの対応もあながち常識はずれなものではないと感じられる。
「JASRACは日本の音楽文化をつぶす気か」というような批判意見もあるらしいが、逆に、使用料を支払わずに著作物の利用を勝手に行っても全くお咎めなしという社会になるほうが、結果的に音楽を創作したことで対価を得られる人がいなくなり、音楽文化(音楽産業?)の衰退に近づくのではないかと思うのである。(インセンティヴ論が前提なので、個人的には100%その通りだとは考えてないけど。)
ただ、本来はJASRACの使用料って私人間の債権関係なはずで、その債務不履行に刑事制裁を持ってくるところにはやや違和感がある。あと、逮捕の決定をしたのは警察だから、これはJASRACを責めても仕方あるまい。
KAT−TUN盗撮DVDを所持 容疑の女子大学生逮捕(asahi.com、2006年11月9日)
矢沢永吉、ビートルズときて最後はKAT-TUN。コンサートの盗撮動画をDVD化したものを販売して逮捕。別のソースによれば容疑者自らが撮影したわけでは無いとのことで、近いうちに別の撮影者が発覚するかも。
ところで、毎日新聞に次のような記事が出ているのだが、
著作権法違反:DVDずらり、「KATーTUN」盗撮映像押収 /富山(毎日新聞、2006年11月10日)
「DVDずらり」とか「押収したDVD約400枚やパソコンなど計四百数十点を公開した」とか言われても、写真がないから全然わからない。
KAT-TUNの写真をネット上に載せたくないというジャニーズ事務所の意向が働いたのではないかと邪推したくなる。
その他
ウィキペディアっぽい話題。
日立システムがWikipediaとケンカ?--百科事典の検索システムを開発(CNET Japan、2006年11月1日)
内容はともかく、「ケンカ」と、まるで週刊誌のように根拠もなく読者を煽るタイトルのつけ方にびっくりしたので。
まあ、この CNET Japan の記事に書かれていないだけで、あながち無根拠というわけでもなく、
Wikipediaに対抗?!日立システム開発のデジタル百科事典(NIKKEI NET IT+PLUS)
では、
「吉見俊哉学環長は「Wikipediaは個別知識ベースの辞典としてすばらしいものだが、大学としてIT時代に何ができるかを考えたときに専門家が編集した知と知の関係性に価値があると考えた」と述べた。」
との吉見先生のコメントが紹介されている。
著作権。
赤い伊文化会館、塗り替えぬなら裁判も…都知事が意向(OCNニュース(YOMIURI ONLINE)のGoogleキャッシュ、2006年11月3日)
真っ赤な外壁が景観を壊していると話題のイタリア文化会館についての石原東京都知事のコメント。
「建物はイタリアの建築家のガエ・アウレンティ氏が設計を指導。同氏の著作権に関して、石原知事は『あれだけ周りからクレームが来ていて、「私の著作権です」では済まない。ビルには公共性がある』と述べた。」
うん、まあ言ってることは分かるんだけど、厳密に考えると憲法問題ですよこれ。著作権法の枠内で処理するとすれば、20条2項2号の「模様替え」に該当するかが争点になるんでしょうね。
写真。
携帯がアリバイ証言 京セラコミュニケーションが新システム(京都新聞、2006年11月3日)
携帯電話で撮影した写真にタイムスタンプを入れることで撮影日時を証明する技術。写真の撮影日時はわかっても、どの端末で誰が撮影したのかというひもつけまではできないから、アリバイ証言には力不足だろう。
個人情報。
「場当たり個人情報」から「攻めの情報活用」へ - 第16回 福岡中学生いじめ、mixiプライバシー侵害にみる個人情報(1)(SAFETY JAPAN、2006年10月31日)
ここで指摘されている狡猾な悪用手口はそれなりに見事なもので、感心してしまうほど。まあ本来の趣旨とはずれてるから賞賛はできないが。
いまの個人情報保護法は取扱事業者はこういうことをしなければならないという形で規定しているけれど、これをもっと私法的に(私人間の権利義務関係を中心に)構成しておけばちょっとは運用のあり方も変わるんじゃないかなあという気がしている。
(例えば法25条1項の開示義務の訴訟法上の意義について、夏井高人「個人情報保護法第50条(適用除外)に関する要件事実的検討」判タ1131号(2003年)68-64頁を参照。)
ダフ屋。
日本シリーズの「ネットダフ屋」逮捕(スポニチ Sponichi Annex、2006年11月2日)
東京都迷惑防止条例違反容疑で逮捕。同条例2条1項によれば、入場券を不特定の者に転売するために、公共の場所で買う行為が処罰対象となる。(3項が公共の場所で売る行為。)
買っただけで違反になるんだというのが意外。でも転売の意図の証明が難しそうだ。
他にもいろいろあった気がするけど、わすれた。
ちなみに、ニュース以外で一番感心したのはこれ。
TrueTypeリューク手書き風フォント(人力検索はてな、2006年11月6日)
デスノート・フォント。(当然かもしれないが)英語しかないのが残念である。