ってどうなのかなあという疑問。
北朝鮮の核実験実行声明文(LERKのWikiWiki日記、11月27日)
北朝鮮と著作権条約の問題については、一年以上前に
北朝鮮の著作権というエントリを書いており、そこで「コピライト」の説明を引用したのですが、いま改めて考えてみると、ちょっとその説明はまずくないだろうかという気がしています。
えっと、そこで引用した「コピライト」2003年7月号13頁の説明には、日本政府は北朝鮮を国家として承認していないから「日本との間で条約上の権利義務関係が生じることはない」と書いてあるのです。
国際法上はその通りかもしれません。でも国際私法だとどうだろう?
国際法っていうのは国家間の権利義務関係を規律する法で、そこで主体となるのは国家です。でも国際私法は、私人間の国際的な紛争を解決するための法であって、その主体は国家ではなく私人なわけです。
するとそこで第一に考えないといけないのは、その私人間の紛争をどのように解決するべきかという点であって、そのためには当事者がどういう法に従って行動しているかということが重要であって、それが未承認国家の法であるかなんてことは直接的には関係ないような気がします。
たとえ未承認国家の法であろうとも、それがちゃんとしているなら(ちゃんとしていなければ公序則で切るんでしょう。)適用して紛争を解決してやればいいと思うのです。
「国際私法は事案ともっとも密接な関係のある法域の法律を適用して問題を解決することをその目的としており、国際法上の承認が存在するか否かという外交的・政治的問題とは無関係である。〔中略〕1932年の万国国際法学会決議を初めとして、その後の多くの国家の実行において、この立場が採用されている。」
(櫻田嘉章『国際私法〔第4版〕』(有斐閣、2005年)98-99頁 (※注:同書の最新版は第5版。未入手)
なので、この「コピライト」の説明はおかしいんじゃないかなあと思います。
さて、じゃあ北朝鮮にいる作者の著作権も尊重しましょうとなったら、次は関係各国の国際民事訴訟法を参照してどこに裁判管轄があるのかをチェックして、もし北朝鮮に管轄があるなら北朝鮮の国際私法を参照して、北朝鮮の「対外民事関係法」23条によれば著作権(の発生および効力?)については北朝鮮法によることになってるなあとか言いながら北朝鮮著作権法を見て、北朝鮮著作権法12条には「法令、決定、指示等の国家管理文件及び時事報道物、通報資料等は、著作権の対象とすることができない。」とあるからこれで何とかならないかなあとか考えつつ、ついでに日本での執行について民事訴訟法118条3項の相互の保証の存否を確認して、北朝鮮以外にも裁判管轄が……って、あーややこしい。
(北朝鮮法の条文に関しては、
北朝鮮WEB六法を参考にさせていただきました。貴重な資料に感謝。)
結論からいうと、「よくわからない」です。
内容が理解できないのでその創作性の判断もできないし、その声明文が北朝鮮著作権法12条にいう「国家管理文件」なのかどうかもわからない。
ただ、たぶん「相互の保証」がないと思うので、仮に北朝鮮で裁判されて敗訴したとしても、日本にある財産が差し押さえられる危険性は無さそうです。
以上、民事の話。刑事がどうなってるのかは、ますますもってわかりません。さすがに声明文を転載したぐらいで身柄引き渡しなんてことはないと思うのですが……。