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夢の国
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この画像の著作権表示を見る[著作権] 私的録音録画補償金問題 [link]

14時半過ぎから1時間ほど正々堂々blogの川内衆議院議員が文部科学委員会で行った質疑応答を見ていました。
衆議院の本会議ってインターネットで見られるんですね(こちらから)。便利な時代です。

以下はその質疑応答のメモ。
※ 発言内容等、必ずしも正確性は保証できません。間違ってたらすみません。

今日の委員会には参考人としてJASRACの吉田理事長と、JEITAの小林委員長が出席していました。
一応解説をしておくと、JASRACは「権利者団体」代表で、iPod等への課金を求めており、JEITA(電子情報技術産業協会)はメディアなどの機器製造者側で、私的複製については個別に課金できる技術があるのだから現在の制度は抜本的に見直すべきだとして補償金制度の凍結を求めています。

まず始めに両者の言い分。

JASRAC吉田理事長:
(川内議員がJASRACはiTMSに反対していると言ったことに対して)権利者団体としてはiTMSの配信事業に反対はしていないし、既に協議を進めており、基本的合意に至っている。
私的録音録画補償金制度を拡大すべきだという主張の根拠としては、
・近年の私的録音の拡大や、未指定の大容量機器の登場などにより、昨年6月に行った実態調査によれば一人平均年間410回の私的録音しており、その51%が指定対象外の機器で行われている。
・また法体系の点から見ても、30条1項は零細な利用を前提に複製を認めたものであり、また複製権の制限について「非常に厳しい条件」を課しているベルヌ条約を指針とするべきである。
・MDは既に指定されており、それに取って代わるiPod等が指摘されないのは不公平である。
・フランス・ドイツなどの先進国でもiPod等に補償金を課している。
・現在の私的録音録画補償金制度に替わるような現実的な技術がない。
・なお、パソコン等の汎用機器に課金をするかどうかは、今やっているiPod等のHD内蔵機器の話とは切り離して別途協議すべき。

JEITA小林委員長:
制度そのものが現時点では多くの問題を含んでいる。
・消費者(機器購入者)が機器代金に上乗せされて補償金を支払うわけだが、その認識が低いのではないか。
・対象とされている機器・メディアを私的録音録画に使わずに、自分の声を録音したり、英会話のレッスンに利用したり、作曲者が自作の音楽のために利用したりなどしている。必ずしも私的複製をしない人も補償金を支払わされている。
・そのような人は還付請求ができるけれども、仕組みが煩雑で機能していない。
・インターネット配信など有料でダウンロードしたものをiPodで楽しむ時、その人にとっては二重払いの感が否めない。
・権利者への補償金の支払いがユーザから見ると不透明である。
など。
補償金制度が制定された1993年当時にメディアや機器に一括して課金する方法を取ったのは、一回複製するたびに補償金を支払うというのは技術的に不可能であったからである。インターネットから一曲いくらでネット配信できる現在では、個別に都度の支払いが技術的に可能である。
また、政令指定で対象を広げていくと、さまざまな汎用機器(パソコン、携帯電話)にまで広がっていきかねない。このような指定方法は合理的ではない。
従って現行の補償金制度は凍結し、2011年に放送が全デジタル化される時を見据えて制度の抜本的な見直しをすべき。
補償金制度があるのはベルヌ条約加盟国中159国中22ヶ国だけ。都度の課金によるあたらいビジネスモデルをつくるべき。
そうすることで競争原理が働くので、消費者はよりよいコンテンツをより安く享受できることになる。

これを受けて川内議員はまずこのニュース(速やかに「iPod課金」を――音楽関係7団体が強く要望)で報道されている、
「日本音楽著作権協会の吉田茂 理事長はこう述べ『私的複製の制限については、ベルヌ条約(著作権に関する国際条約)にも記載されており、日本でHDD/フラッシュメモリオーディオなどに関する補償金制度がないのは条約違反ですらある』と、iPodなどを私的録音録画補償金制度の対象に含めるよう、強く主張した。」

JASRAC吉田理事長の「iPod等を補償金の対象としないのはベルヌ条約違反である」という発言は誤りであろうと述べます。
というのは、ベルヌ条約は直接に私的録音録画補償金制度を義務付けているわけではなく、各国がきちんとした手続きに則って課金するかしないか、あるいは制度自体を凍結するかしないかを決めることはベルヌ条約の範囲内で各国に留保されているから、違反とはならないと考えられるからです。
この点について文化庁の解釈を尋ねると、

文化庁加茂川次長:
ベルヌ条約は一定の制度を取ることを強制せず、各国の立法に留保している。
複製権を立法により制限できるのは「通常の利用を妨げず」「著作者の正当な利益を害さない」場合であり、補償金制度があるからこれが満たされている。
現時点では、iPod等のHD内蔵機器に課金しないことがベルヌ条約違反になるかという点については、
・仮にiPod等が指定されないという条件下で、
・補償金制度が機能せず、
・他の補償的制度が全く講じられないのであれば、
ベルヌ条約違反の虞がある。

と回答。
このあとなんだか論点のずれた議論が行われるのですが、要するに文化庁は、iPod等に課金しなくても直ちにベルヌ条約違反にはならないが、全く補償制度がなくなってしまえば「著作者の正当な利益」が害され、ベルヌ条約違反の状態になりうる、という慎重な言い方をしているわけです。
そんな非現実的な仮定をして話をそらさなくてもいいのに。
とりあえずここで、
・私的録音録画補償金制度はベルヌ条約から直ちに導かれる制度ではなく、どのような制度を採るか、あるいは採らないかということは各国にゆだねられている。
ことが確認されたわけです。

続いて同じ点についてJASRAC吉田理事長の回答。
JASRAC吉田理事長:記者会見の時のメモを見ると、わが国として今のままでなんらの措置も取られないのであれば国際条約に反するとの「そしりを免れず」と発言はした。
ベルヌ条約から必然的に補償金制度が導かれるわけではない。色々な補償手段が考えられるが、それが全く何もなくなってしまえばそしりは免れないの意である。

だったら、「条約違反ですらある」なんて言わずにちゃんとそう言えという気がします。。

次に川内議員は、補償金を求めるからにはiPod等による経済的利益の損失が証明されなければならないとして、既に経済損失が発生しているのか、それはどの程度のものなのか? という質問。

JASRAC吉田理事長:冒頭で述べた昨年6月の実態調査の後に iPod mini が発売され、ますます普及拡大しているので、未指定機器による私的複製もおそらく51%からさらに拡大しているだろう。
また、平成3年の第10小委員会の報告書(註:私的録音録画補償金制度の導入を決定した際のものです)でも、「私的録音は全体として利益を害するに至っている」と平成3年の時点で既に言っている。
現段階でiPod等の新しい製品でどの程度の経済的損失が出ているかは推定でしかない。
2005年の全体の出荷額をも推定して、年間で少なくとも141億円の損失が出ていると思われる。
ただこの数値はコピーされる度にJASRACの使用料規程に則った使用料が支払われるという前提での計算であり、私的録音録画補償金のベースで計算するとJASRACだけで2億5千万円強程度の損失となる。使用料と補償金との差が大きい。
繰り返すが、性質上各家庭に現実に調査に行くのは困難なので、数値は推定に過ぎない。

やっぱり本当に経済的損失が拡大しているのか(そもそも存在しているのか)はよく分からないですね。。

次に川内議員は、小委員会での検討課題として、補償金制度の見直し、権利制限規定の見直し、私的使用目的の複製の見直しという順で検討することになっているが、これは順番が逆なのではないかと指摘。
つまり、まず「私的複製とは何か」を定義しないと、補償金制度の議論の結論が出ないはずであり、デジタル時代に著作権管理がどうあるべきかというところから始めるべきで、そこからDRMへの移行などの議論を進めていかないと、今の議論が不毛になる、と。

これに関連して、JEITA小林委員長は「MDは音楽を複製して、その複製物を拡散させるという性質があるが、iPodのような製品は聞く場所を変える、シフトするだけであって、拡散させるようなものとは違うという認識をしている。そのような新しいコンセプトの製品に、今の補償金制度はあわないのではないか。」という趣旨の発言をしています。
MDは同じ楽曲を何度でもコピーしていくつも複製物を作れて、それがメディアに化体されて正規品の代替として広がっていくという性質があるのに対し、iPod等は音楽を持ち歩く、つまり部屋で聴くか外で聴くかというような聞く場所を変えるための機器であって、複製物が拡散していくという性質のものではないわけです。
なのでどちらも「複製」行為ではあるものの、その性質の違いゆえ「著作者の正当な利益を害さない」かどうかの判断も異なってくるだろうから、MDに課金してiPodには課金しないという制度にも合理性があると思います。
あるいは両方とも「複製」となるという現行法の解釈自体を見直して、川内議員が言うように「私的複製とは何か」という定義によってこのふたつを区別した上で別の制度で規律するという方向もあるかもしれません。

そういえば私的複製とは何かについては、P2Pによるファイルのダウンロードとの関係で、国際小委員会のほうでも話が出ていましたね(参照)。


最後に川内議員が文化庁に、権利者団体と製造者・利用者側との間に立った中立的な立場で議論をしているのかという確認と、今後の審議のスケジュールを尋ね、文化庁加茂川次長が特定の予断を持たず双方の主張を踏まえながら中立的な立場に立って検討をしていること、次回の委員会が8月25日に行われ、その後9月から一ヶ月程度意見募集のためパブリックコメントを募集することを述べて、議員の質疑応答は終了しました。

とりあえず今日の質疑応答はそんな感じです。
やっぱり1時間程度では時間が全然足りないんだなあと感じました。

あと本題ではないですが、iTMSに関してJASRACが「既に協議を進めており、基本的合意に至っている。」と言っているのが気になりますね。
明日Appleから発表があるかもということですが、日本独自の変な課金システムになってないことを祈ります。


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2005年08月03日16時50分41秒


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